大型案件獲得プロジェクト
築き上げてきた信頼を、決して裏切らない。
本当の課題をつかめれば、
相手が大手でも絶対に負けない。
< コンサルティング営業 >
情報をキャッチしてからプロジェクトが完了するまで、1年以上に渡ってチームを率いてきたのが、2011年入社の小宮。通常であれば、お客様と直接やり取りをしている製品メーカーが製品の導入やサポート業務も請け負うところを、獅子奮迅の活躍でアシストの指名を勝ち取った。苦労は絶えないが「常に愉しむ」ことを意識し、自分で考え行動することを心がけているという。
<エンジニア>
2010年に新卒でアシストに入社し、家庭の事情でいったん退職したが、2015年に中途入社という形でアシストに復帰。以後、フィールド領域のエンジニアとして働いている。本プロジェクト以前は、長期技術支援において、サブメンバーとして案件に携わることが多かったため、リーダーとしての経験を積むべく本件にアサインされた。プロジェクトを終え、自身の大きな成長を実感しているとのこと。
<エンジニア>
自らを「JP1サポートセンターの生き字引」と称するほど、技術や知識だけでなく製品への愛を持って業務に臨む居城。1999年に入社し、サポート領域のエンジニアとしてBI系製品のサポートを経験した後、2003年からは統合システム運用管理ツールである「JP1」一筋だ。本プロジェクトでもその技術力が大きな武器になったほか、大阪サポートセンターのメンバー取りまとめなども担った。
システムをリプレースする予定がある。その情報をコンサルティング営業の小宮がつかんだのはある年の夏のことだった。得意先の化学メーカーとは、パッケージソフトウェアの導入やサポートを通じて懇意な間柄となっていたが、ハードウェアも含めた大掛かりな刷新になれば、システムの開発・構築から担える大手ITベンダーも登場することになる。アシストにとっては、チャンスにもなり、ピンチにもなり得る状況だった。「話を聞いてみると、ITベンダー含め3社に提案の依頼をしているということでした。大手システム会社ともなれば、当然、関連の子会社を抱えているため、システム開発だけでなく、ソフトウェアの導入や運用サポート領域も提案しにくるはず。お客様へのヒアリングだけでなく、ITベンダー3社の動きにも注目していました」。
また、同時に小宮は、これまで得意先に導入していた2製品を担当するフィールド領域のエンジニアをアサイン。お客様へのご提案に向けたプレゼンのシミュレーションを開始した。「システムは替えるけれど、ソフトウェアは従来のものを流用したいという情報でした。しかし、バージョンアップや機能拡張など細かな設定が必要になるため、最適な提案ができるよう私たちもお客様先に出向いてヒアリングを重ねました」と回想するのはソフトウェア「JP1」を担当していた大谷だ。
プレゼン後の冬、「JP1」「DataSpider Servista」というパッケージソフトウェア2製品については、アシストに依頼する旨の連絡が入った。以前から積み重ねてきた信頼関係が評価され、システム部分とは切り離した形での受注だった。小宮が振り返る。「お客様がどのITベンダーにシステムのリプレースを発注したとしても、ソフトウェアに関してはアシストを選んでいただく。それが私のミッションだったため、ひとまずは安堵しました」。
ただし、本当のゴールは案件の受注ではない。新たなシステムに従来のソフトウェアを改めてインストールし、安定稼働させ、得意先の業務がより効率良く変わって初めて、アシストは「アシスト」したことになる。その主役の一人となるのはエンジニアの大谷だ。「このプロジェクトは、私にとって入社してから初めてメイン担当となる案件でした。資料作成、お客様やITベンダーとの折衝、プレゼン時に想定していなかった作業も増える中で、当初の見積内に作業工数を収めるのは至難の業でした」。予算には限りがある。だが、得意先としてはできる限りのことを、アシストにフォローしてほしい。大谷は技術に関する専門家だが、得意先のスケジュールや費用についても熟知し、交渉しなければならなかった。
「大事なことは、本当のところ何が一番困っているのかを聞き出すことだと思います」。大谷は今回の化学メーカーが、何をリスクととらえているのか把握するように努めたという。「今回の案件では、『JP1』は経営に直結する受発注業務に使われる予定でした。止まってしまうと数億円の損失が出る可能性もあります。従来のソフトウェアを継続して使うということは、コスト削減の意味もありますが、これまで通りに業務を行いたいという気持ちが強いのだと思いました」。
実際にソフトウェアを更新する前には、使い方に関するレクチャーも行った。単にソフトウェアの利便性を伝えるのではなく、トラブルに結びつきやすい使い方を事前に周知しておくことで、リスクに備えるわけだ。実際にお客様のもとへお伺いし、システムのリプレースとパッケージソフトウェアの更新作業に使える時間は3日間。当日は24時間体制だが、その前の準備や仕込みには約7ヵ月という期間が費やされた。「打ち合わせの段階では何度も紛糾する場面がありましたが、プロジェクト完了時には大変喜ばれました」と小宮は胸を張る。得意先はもとより、ITベンダーや製品メーカーからも大きく評価されたという手応えがあった。
導入支援が完了し、案件は無事にサポートチームに引き継がれることになった。2製品については引き続き、アシストのサポートチームが技術的なフォローを行っている。西日本支社で「JP1」を専任で担当しているサポート領域のエンジニアは5名体制だが、その一人が居城だ。「システムリプレースの当日もコールセンターで待機していましたが、特に何もトラブルはありませんでした。ただ、私たちが必要とされるのは、日常業務が動き始めてからがメインです。お客様の業務特性やカルチャーなど、細かな点は常にフィールド領域のエンジニアやコンサルティング営業から吸い上げてあります」。得意先の環境を把握しておくことが、トラブル時の初動を早くする。また、ただ問い合わせを待つだけでなく、前もってお客様に情報提供を行うなど、万全のサポート体制を敷いているという。
その後、得意先である化学メーカーからは、追加でソフトウェア導入を依頼されるなど、良好な関係が続いている。パッケージソフトウェアの販売や導入、サポートに特化している会社は、決して多くはない。だが、その独自性にあぐらをかいていれば、今回のような大型プロジェクトは完遂できなかっただろう。小宮と大谷は、「これほどトラブルなしで移行ができるとは思っていなかった」という得意先の一言を糧に、現在は別のプロジェクトに邁進している。